知的財産アンテナ

弁理士試験、高配当投資、資格について書きます

弁理士試験 平成27年 論文試験 特許法・実用新案法 問2(3)について

原稿として以下記載する。

今後動画にする予定なので、もしよかったらチャンネル登録よろしくね。

 

(3) 甲は、丙に対して、特許権Pに基づき製品bの製造販売につき損害賠償を求める特
許権侵害訴訟を提起し、丙は、発明イは、特許公報Xに記載された発明ロと同一であ
って特許法第 29 条第1項第3号に規定する発明に該当し、特許を受けることができないから特許無効審判において無効にされるべきものであるとの主張をしたが、かかる主張は排斥されて、認容判決がなされ、当該判決が確定した。
 その後、甲は、発明イは、当該特許出願前に公開された刊行物Yに記載された発明
ニと同一であることを発見し、これを根拠として発明イに係る特許が特許無効審判に
より無効にされないようにするため、発明イを発明イ’と訂正することについて訂正
審判を請求し、訂正をすべき旨の審決が確定した。
 丙は、製品bは訂正後の発明イ’の技術的範囲には属さないと判断し、製品bの製
造販売が特許権Pを侵害することを理由とする損害賠償請求を認容した判決には再審
の事由があるものとして、再審の訴えを提起した。
  当該再審の訴えにおいて、丙は、当該訂正審決が確定したことを主張することができるか否か、根拠となる特許法の条文が設けられた趣旨を述べつつ説明せよ。

引用:特許庁 弁理士試験 平成27年 論文試験 特許法・実用新案法 問2(3)

URL:https://www.jpo.go.jp/news/benrishi/shiken-mondai/document/h27ronbun-hissu/shiken_jitsuyou.pdf

 

赤字は甲の主張、青は丙の主張としてほしい。

甲は丙に損害賠償請求をして、丙は無効理由の抗弁をした。

ただ、丙の主張は排除で、甲の勝訴

その後、甲は訂正審判をして、審決が確定

訂正により該当しなくなったのだから、そもそもの甲の損害賠償請求を認容した判決に再審事由があるだろうとして再審のの訴えを提起した。

ここにおいて、訂正審決が確定したことを主張できるか?

 

できない。

104条の4 3号

(主張の制限)
第百四条の四 特許権若しくは専用実施権の侵害又は第六十五条第一項若しくは第百八十四条の十第一項に規定する補償金の支払の請求に係る訴訟の終局判決が確定した後に、次に掲げる決定又は審決が確定したときは、当該訴訟の当事者であつた者は、当該終局判決に対する再審の訴え(当該訴訟を本案とする仮差押命令事件の債権者に対する損害賠償の請求を目的とする訴え並びに当該訴訟を本案とする仮処分命令事件の債権者に対する損害賠償及び不当利得返還の請求を目的とする訴えを含む。)において、当該決定又は審決が確定したことを主張することができない。
 当該特許を取り消すべき旨の決定又は無効にすべき旨の審決
 当該特許権の存続期間の延長登録を無効にすべき旨の審決
 当該特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の訂正をすべき旨の決定又は審決であつて政令で定めるもの
引用:特許法

 

(主張の制限に係る決定又は審決)
第八条 特許法第百四条の四第三号の政令で定める決定又は審決は、次の各号に掲げる場合についてそれぞれ当該各号に定める決定又は審決とする。
 特許法第百四条の四に規定する訴訟の確定した終局判決が当該特許権者、専用実施権者又は補償金の支払の請求をした者の勝訴の判決である場合 当該訴訟において立証された事実以外の事実を根拠として当該特許が同法第百十四条第二項の取消決定により取り消されないようにするためのものである決定又は特許無効審判により無効にされないようにするためのものである審決
引用:特許法施行令

勝訴の判決か?→甲は勝訴している

当該訴訟において立証された事実以外の事実を根拠としている。

特許無効審判により無効にされないようにするものである審決である。