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著作権法の弁理士試験過去問を例に勉強の仕方を解説してみる

こんばんは。ののです。

著作権法弁理士試験の過去問を例に勉強の仕方について解説してみようと思います。

著作者人格権に関し、次のうち、最も適切なものは、どれか。
1 コンピュータ・プログラムの著作物を工業製品の一部に組み込む場合に著作者の表示を省略することは、仮に著作者が創作者であることを主張する利益を害するおそれがないとしても、当該著作者の氏名表示権の侵害となる。
2 公表された論文の書誌情報を蓄積したデータベースにおいて、論文の著作者として誤った氏名を表示することは、当該論文の著作者の氏名表示権の侵害となる。
3 小説を教科用図書に掲載する際に、不適切な差別用語を直すことは、学校教育の目的上やむを得ない場合であっても、小説家の同一性保持権の侵害となる。
4 未公表の小説を原著作物とする二次的著作物の漫画作品について、原著作者である小説家の同意なく公表する行為は、当該小説家の公表権の侵害となる。
5 未公表の著作物である工場建設の設計図を行政機関に提出した場合、行政機関が情報公開制度に基づいて当該設計図を公衆に提供することは、当該設計図の著作者の公表権の侵害となる。

- 特許庁HP 弁理士試験 H29 著作権法 No.4抜粋

 著作者人格権は、18条、19条、20条ですね。

公表権、氏名表示権、同一性保持権です。

1項が権利の規定、2項以降が例外規定というような構成になっています。

 

まず問題を解く際には、どの人格権の問題なのかをチェックし、例外にあたるかどうかを当てはめる形で解いていきます。

 

1 コンピュータ・プログラムの著作物を工業製品の一部に組み込む場合に著作者の表示を省略することは、仮に著作者が創作者であることを主張する利益を害するおそれがないとしても、当該著作者の氏名表示権の侵害となる。

2 公表された論文の書誌情報を蓄積したデータベースにおいて、論文の著作者として誤った氏名を表示することは、当該論文の著作者の氏名表示権の侵害となる。

 19条は、著作物を出すときに氏名表示をしろよという法律です。

ちなみに、二次著作についても同じだよというのが1項です。

 

1.については、3項です。見てもらうとわかりますが、×ですね。

2.については、19条は誤った氏名を表示することが氏名表示権の侵害になりうるとは言っていないので×です。

 

3 小説を教科用図書に掲載する際に、不適切な差別用語を直すことは、学校教育の目的上やむを得ない場合であっても、小説家の同一性保持権の侵害となる。

 同一性保持権は、20条です。これは改変しないされないけんりとなります。

こちらは、2項1号ですね。

学校教育の目的条やむを得ない場合は適用されないとあるので、×ですね。

 

5 未公表の著作物である工場建設の設計図を行政機関に提出した場合、行政機関が情報公開制度に基づいて当該設計図を公衆に提供することは、当該設計図の著作者の公表権の侵害となる。

 公表権は18条ですね。

未公表の著作物は公表する権利を人格権としてあたえています。

みてもらうとわかるのが、工場建設の設計図を行政機関に提出している、行政機関が情報公開制度に基づいて公表するって至極当たり前です。

至極当たり前の内容について侵害になるわけがないので、×です。4項ですね。

 

4が正解ですが、一応みてみましょう。

4 未公表の小説を原著作物とする二次的著作物の漫画作品について、原著作者である小説家の同意なく公表する行為は、当該小説家の公表権の侵害となる。

 二次的著作物であっても原作の小説家の同意なく公表してはいけません。

趣旨的にみて当たり前ですね。18条1項後段です。

 

いかがでしたでしょうか。

問題を解いていると面白いです。